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ものづくり補助金の採択には加点項目を押さえよう(1)

2022年2月16日に、ものづくり補助金の10次公募が開始されました。本記事ではものづくり補助金の加点項目と採択との因果関係と、各加点項目のうち①成長性加点および③災害等加点について説明します。

 

ものづくり補助金の加点項目とは

ものづくり補助金の審査は通常、①審査項目と②加点項目の2つの項目で審査されます。

  • 審査項目とは、事業計画書の内容を審査する項目のことで、ものづくり補助金はさ「A事業化面」4項目、「B技術面」4項目、「C政策面」5項目の計13項目から審査されます。

一方で、②加点項目とは、事業計画書の内容(=審査項目)とは別に、要件を満たせば審査が有利になる(=加点される)項目ことをいいます。

加点項目の該当によりどの程度加点されるかは公表されていませんが、「ものづくり補助金総合サイト(ものづくり補助事業公式ホームページ)」内のデータポータル(https://portal.monodukuri-hojo.jp/dataportal.html)では、これまでの採択状況データから、加点項目の数と(平均)採択率の因果関係を確認することができます。
この表から、加点項目の個数が多ければ多いほど採択率が上がっていることが確認できます。加点項目が0個と4個の場合、それぞれの採択率はそれぞれ24.4%および75.5%であり、採択率に3倍以上の開きがあります。

よって、採択されるには一つでも多くの加点項目を取ることが望ましいと言えます。

しかし、加点項目0個、1個、2個の採択率はそれぞれ24.4%、44.0%、および62.0%と採択率の上昇幅が20%前後ありますが、3個と4個では、採択率はそれぞれ73.6%および75.5%とほとんど上昇していません。

つまり、加点項目は(平均)3個(採択率73.6%)、または2個(採択率62.0%)を取得できれば十分と言えます。

ただし、加点項目には、要件を満たすまでに時間がかかる項目や、今後の経営に影響してくる項目があるため、2~3個の加点項目をどのように取得するかをよく検討する必要があります。

次に、加点項目のうち①成長性加点と③災害等加点の概要、取りやすさ、取得後の経営への影響などについてお示しします。

 

①成長性加点:有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者

経営革新計画とは、中小企業が新事業活動開始のための経営計画書を作成し、都道府県知事等の承認を得る制度です。承認を受けると、日本政策金融公庫の特別利率による融資制度や信用保証の特例、更には販路開拓支援などさまざまな優遇措置を受けることができます。

経営革新の経営計画書は指定のフォーマットで作成する必要があり、ページ数は15~25ページ程度と相当のボリュームになるため、作成には手間が掛かります。また、都道府県の審査から承認までにも期間を要するため、作成開始から承認まで2カ月程度はかかります。したがって、直近のものづくり補助金の応募には間に合わない可能性が高いため、もともと経営革新計画を提出していない場合には、基本的には経営革新計画の承認をものづくり補助金の加点ポイントと考えない方がよいでしょう。

一方で、経営革新の経営計画書で求められる記載項目は、自社の現状や課題、新事業の取組み内容などものづくり補助金の事業計画書で求められる記載項目と重複する部分が多くあるため作成しておくメリットはあります。

また、ものづくり補助金の公募は通常年に複数回あり、直近の公募で不採択になっても次回の公募で再申請が可能です。よって、直近の申請で不採択となった場合に次回以降の申請時に向けての保険(=加点ポイントの取得)として、またものづくり補助金の事業計画書の内容を再確認しより良いものにするため、経営革新計画の申請を進めておくという考え方もあります。

 

③災害等加点:

事業継続力強化計画とは、中小企業が策定したBCP(防災・減災の事前対策に関する計画)を経済産業大臣が「事業継続力強化計画」として認定する制度のことです。

認定を受けた中小企業は、今回のような補助金の加点以外にも税制措置や金融支援などの支援策が受けられます。

事業継続力強化計画の計画書は、経営革新計画と同様に所定のフォーマットに沿って作成します。また、審査から承認までは以前は最低45日程度掛かっていましたが、今年度に入り申請方式が郵送から電子申請変更になり、1~2週間程度に短縮されました。
最も
経営革新計画と異なる点は、事業継続力強化計画は、中小企業庁が発行している「事業継続力強化計画策定の手引き」に策定手順や事例を確認しながら作成することができるため、丸一日あれば比較的簡単に作成することが可能です。

よって、ものづくり補助金の公募の締切まで2カ月以上ある場合は、経営革新計画ではなく、この事業継続力強化計画の承認を加点ポイントとして考えると良いでしょう。

 

まとめ

今回は、ものづくり補助金の加点項目と採択との因果関係と、各加点項目の中から①成長性加点および③災害等加点についてお伝えさせていただきました。

次回は、②政策加点と④賃上げ加点、さらに加点項目の組み合わせ例についてご紹介します。

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