ものづくり補助金の採択率を左右する要因には何があるのでしょうか。本記事ではものづくり補助金の採択率の傾向から、採択を得るためのヒントを探していきます。
ものづくり補助金の申請数と採択率の推移を締切回ごとに見ていきましょう。下図はものづくり補助金の1次締切から13次締切までの申請数と採択率の推移を示しています。
出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)
ものづくり補助金の採択率は直近では60%前後で推移しています。申請数が大幅に増えると採択率は低下するという負の相関関係が見られます。特に採択率が30.8%にまで低下した4次締切回では10,312件の申請がありました。直近の13次締切回と比較すると3倍もの申請数です。決められた予算枠の中では採択数に限りがあります。よって申請数が増えれば、その限られた枠を奪い合う形となります。
5次締切回では申込数が激減し、採択率が改善しました。これは、5次から特別枠の要件が大幅に変更されたことが一因です。また同時期に事業再構築補助金が開始され、申請者が両補助金に分散したことも理由として考えられます。申請数を事前に予測することはできませんが、しっかりと事業計画をブラッシュアップして採択される可能性を高めましょう。
下図は各回の締切日を基準とした申請のタイミングと採択率の関係性を示しています。
出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)
申請数の割合は締切3日前から増加し、締切日当日が最多となっています。申請が集中する締切の直前は電子申請システムが混み合います。システムが重く、申請手続きが思うように進まない可能性があります。過去には申請が集中し、締切日に電子申請システムがダウンした例もあります。締切日は終了時刻が決められており、入力が1分でも間に合わなければ申請できません。締切日当日の申請は避けたいものです。
また締切日当日の申請は、ものづくり補助金では採択率が下がる傾向があります。準備不足の申請が一定数あったものと考えられます。ものづくり補助金を申請するための事業計画書、添付書類の準備には多大な労力を要します。十分な検討ができずに締切日を迎えることがないよう、余裕をもったスケジュールで進めましょう。
下図は10次~13次締切における採択率と申請額の関係性について示しています。
出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)
ものづくり補助金では申請額が高いほど採択率が高い傾向が顕著に見られます。250万円未満と1,000万円以上を比較すると、採択率は2倍以上の開きがあります。
因果関係は定かではありませんが、ものづくり補助金事業の目的にヒントがあると考えられます。事業の目的は「革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。」と示されています。つまり、ものづくり補助金を申請する際の事業計画には革新性が求められます。投資額が大きいほど、その投資に見合った革新的な取り組みのための設備投資等を示す事業計画書の割合が相対的に増加している可能性が考えられます。
ただし、やみくもに申請額を増やせば良いというものではありません。高い収益性があるか、投資の回収見込みはあるか、費用対効果なども含めて検討が必要です。それが本当に自社にとって有効な投資となっているのか、冷静に吟味しましょう。
下図は10次~13次締切における加点ポイント取得数と採択率の関係性について示しています。
出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)
ものづくり補助金の審査では一定の要件を満たした場合に加点がされ、審査に有利となります。上図で見られるように、加点項目数の増加につれ採択率が向上しています。加点項目が0個の場合と4個の場合で比較すると採択率は2倍以上もの開きがあります。
一方で、申請割合を見ると3個以上の加点項目に該当する申請割合は減少し、5個を満たす申請割合は0となっています。申請までに多くの加点項目を満たすことは容易ではありません。2個でも十分に高い採択率の向上効果を得られることから、まずは2個以上の加点項目を目標にしましょう。各加点項目については、こちらの記事で詳しく解説しています。
加点項目に関して気を付けたいポイントは、申請日時点で要件を満たすことです。例えば成長性加点で必要な「経営革新計画」は、行政庁に提出するだけでは加点にはなりません。申請時点で計画の承認を得ている必要があります。承認まで相当の時間を要しますので、ものづくり補助金の申請直前に経営革新計画を提出しても間に合いません。余裕を持ったスケジュールで取り組みましょう。
今回の記事ではものづくり補助金の採択率の推移、申請タイミング、申請額、加点について説明しました。次回は事業計画書の作成時間や業種などと採択率の関係についてお話しします。
当プロコン補助金では、プロのコンサルタントによる申請サポートにより、数多くのご支援を採択に導いて参りました。ものづくり補助金の申請についてご相談がございましたら、是非一度プロコン補助金にお問い合わせください。