2024年2月1日 18次公募開始にともない改訂
ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値化枠は、『通常類型』と『成長分野進出類型(DX・GX)』に分けられます。『通常類型』は下記記事を参照してください。「【18次公募】ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)について解説します」(https://procon-hojyokin.com/tuujyou/)
当記事では、18次公募『成長分野進出類型(DX・GX)』について説明します。
『成長分野進出類型(DX・GX)』は、成長が見込まれるDX・GX分野を重点的に支援する類型です。DX、GXに関連する、付加価値の高い革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援します。17次公募での募集はなく、18次公募で募集されています。
『成長分野進出類型(DX・GX)』の補助上限額、補助率を見ていきましょう。下図は製品・高付加価値化枠の補助上限額、補助率を示しています。
出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)
『成長分野進出類型(DX・GX)』は『通常類型』に比べて補助上限額、補助率が引上げられています。従業員数21人以上では通常類型比2倍の2,500万円となります。
さらに大幅な賃上げに取り組む事業者には補助上限額の引上げ特例があります。上図の括弧内の金額が補助上限額となります。ただし、特例を適用する場合は追加の達成要件があります。給与支給総額増加、事業場内最低賃金の増額の達成が求められます。基本要件よりも厳しい要件となりますのでご注意ください。
「DX」とは「デジタル・トランスフォーメーション」の略です。一方で「デジタル化」は既存の業務をITツールで置き換えるものです。それに対し「DX」はさらに企業組織やビジネスモデルの変革を伴う活動です。
デジタル製品を導入しただけではDX枠の補助事業にはなりません。DXに資する製品・サービスの開発、または、デジタル技術の活用を通じて業務フローの見直しが必要です。AI、IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を持つ製品・サービスの開発が対象となります。製品・サービスには部品、ソフトウェアの開発を含みます。
16次で公募された「デジタル枠」ではデジタル技術の活用を通じた業務フローの見直しも補助対象でしたが、18次公募では補助対象となりません。直接的にDXに資する製品・サービスの開発が求められます。
DX類型の対象となる事業のイメージについては、デジタル枠の成果事例の記事(https://procon-hojyokin.com/dejitaru_jirei/)を参考にしてください。
「GX」とは「グリーン・トランスフォーメーション」の略です。化石燃料からクリーンエネルギーへの転換を通じて、CO2の排出を削減し経済社会システム全体を変革する取組みです。
こうした変革の早期実現を政府は経済成長の機会ととらえ「グリーン成長戦略」を策定しました。その方針に沿って企業によるGX投資を後押ししています。そのため、政策方針に沿ってものづくり補助金にGXを推進する類型が用意されました。
企業側のメリットは、エネルギー価格高騰といった外部環境の変化に強くなることが挙げられます。加えて、ブランド価値向上、人材獲得で有利といったメリットも考えられます。
下図は、グリーン成長戦略の概要を示しています。
出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html)
GX枠は、グリーン成長戦略に資する革新的な製品・サービスの開発が補助対象です。グリーン成長戦略では成長が期待される14分野が指定されています。その分野における「課題」の解決に資する取組みが対象となります。
下図は、成長が期待される14分野を示しています。
出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html)
グリーン成長戦略で上記の14分野ごとに示された「課題」の解決に資する取組みが必要です。
下記はグリーン成長戦略で示されている「課題」の例です。
自動車・蓄電池分野
車両価格低減、充電インフラ・水素ステーションの整備
電池・燃料電池・モータ等の電動車関連技術・サプライチェーン・バリューチェーン強化半導体・情報通信
データセンターの立地やグリーン化、5Gなど次世代情報通信インフラの構築
半導体の省エネ化食料・農林水産業分野
高層建築物等の木造化や、木質系新素材開発による木材利用の拡大
木質バイオマス由来の新素材の開発・普及による化石燃料由来製品の代替
木質バイオマスの効率的なエネルギー利用住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業分野
非住宅・中高層建築物分野における木造化
ライフサイクルカーボンマイナス(LCCM)住宅及びゼロエネルギー住宅・建築物(ZEH・ZEB)推進
住宅・建築物の省エネ性能向上
上記のように、カーボンニュートラルの実現に向けた課題解決の取組みが対象となります。ここで紹介した「課題」の例はごく一部です。上記以外でも、検討されている事業がグリーン成長戦略の「課題」に合致する可能性があります。
当記事ではものづくり補助金の成長分野進出類型(DX・GX)について説明しました。成長分野進出類型(DX・GX)は通常枠に比べて申請のハードルは高くなりますが、補助上限額、補助率の優遇を受けられるメリットがあります。お考えの事業が要件に合致するか、ぜひプロコン補助金.comへご相談ください。