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ものづくり補助金の審査項目を把握し採択を目指そう(2)

ものづくり補助金の審査項目を把握し採択を目指そう(2)

前回は、公募要領(15次締切分)の審査項目の(1)~(7)の中で、1)補助対象事業としての適格性と(2)技術面について説明しました。今回は、審査項目の(3)事業化面について説明します。

<公募要領(15次締切分)の審査項目>
(1)補助対象事業としての適格性
(2)技術面
(3)事業化面
(4)政策面
(5)炭素生産性向上の取組等の妥当性(グリーン枠のみ)
(6)グローバル市場開拓の取組等の妥当性(グローバル市場開拓枠のみ)
(7)大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例のみ)

(3)事業化面
事業化面では、以下の4つの内容について審査が行われます。例えば、財務状況、市場ニーズ、ユーザー動向、競合比較、費用対効果などです。技術面は技術そのまのの価値が問われていたのに対し、事業化面では事業遂行能力やマーケティングの観点を含めた評価が多くなっているのが特徴です。

① 補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか。
③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。

事業化面の1つ目は、「補助事業実施のための社内外の体制や最近の財務状況を踏まえた補助事業の適切可能性」、「金融機関からの資金調達の可能性」です。「社内外の体制」については、補助事業を進めるにあたっての社内外の関係者を体制図としてまとめることがポイントとなります(下図参照)。そして、技術的能力や事務処理能力等について説明を行い、補助事業を実施する体制が整っていることを示すことが重要となります。「最近の財務状況」については、直近2期分の決算書から営業成績(損益計算書)や財産情報(貸借対照表)等の財務状況を記載し、補助事業を適切に遂行することが期待できることを示します。財務状況が良ければ問題はありませんが、財務状況が悪い場合は、その理由や将来の改善見込みを記載し、補助事業を適切に遂行できる可能性があることを示します。「金融機関からの資金調達の可能性」では、十分な資金調達が見込まれるかが問われます。金融機関等とこれから交渉するのではなく既に交渉を行っており、その結果、金融機関の感触はよいのか、内諾をもらえるのか等、その交渉状況を具体的に記載し資金調達が十分に見込まれることを示すことが重要です。なお、金融機関から借り入れを行わず、自己資金で賄う事業者は、借入に頼らず自社で十分資金がある旨をしっかりと記載すれば良いでしょう。

実施体制図

事業化面の2つ目は、「市場ニーズ、ユーザー、マーケット、市場規模」です。市場ニーズは補助事業のターゲットとなる顧客のニーズのことです。自社でニーズ調査した1次データ、又は公的機関や調査会社等が公表している2次データを用いて、補助事業の対象となるニーズをしっかりと事業計画書に記載することが重要です。ユーザーは、補助事業がターゲットとしている顧客像を具体的に示すことが求められます。例えば、「東京都荒川区に在住の20~30歳代のアニメが好きな女性」等です。顧客像は、市場細分化の基準である、地理的基準(東京都荒川区)、人口統計的基準(20~30歳代の女性)、行動変数基準(アニメ好き)等を組み合わせると、具体的に示すことができます。マーケットと市場規模については、補助事業のターゲットのマクロ商圏の内容を記載するケースが多いと思われますが、それだけでは不十分です。マイクロ商圏ではこのようなトレンドがあり、自社商圏についての市場規模や将来の市場規模の予測などを事業計画書に記載することが重要です。なお、クラウドファンディングを実施した場合は、どのようなユーザーがいるのか、どのようなニーズがあるのか、簡潔に記載すると良いでしょう。

事業化面の3つ目は、「価格的・性能的に優位性や収益性を有するか」「事業化までの遂行方法とスケジュールが妥当か」です。「価格的・性能的に優位性や収益性を有するか」は、補助事業を実施した結果、対象の製品やサービスが価格と性能で優位性・収益性を有しているか、ということが問われます。自社の商品・サービスに関する説明だけでは優劣はつけられないので、競合企業の商品・サービスと比較して優位性や収益性を示す必要があります。当社が支援する補助金申請の添付資料では、競合企業と自社の比較表を用いて示します(下図参照)。価格面は、売上単価や粗利単価等の収益性について記載し、機能面は、性能を項目ごとにできるだけ数字で記載し、総評は全体の優位性や収益性等について記載しています。
競合比較表また、「事業化までの遂行方法とスケジュールが妥当か」は、対象の設備を導入するまでの方法とスケジュールではなく、設備導入後の事業化までの方法とスケジュールが問われます。例えば、設備の導入後は、一般的には設備に関する技術や技能を習得し、試作品を製作して評価を行い、一定の品質まで高めてから事業化を図ります。その事業化に至るまでの方法として、誰が・いつ・何を行うのかを説明する必要があります。スケジュールは、以下のように表形式のガントチャートにして分かり易く表現することが重要です。そして、取り組み内容については、スケジュールを考えた理由や具体的な期間等を示しながら補足説明を記載することがポイントです。

事業化面の4つ目は、④「費用対効果」です。費用対効果は、補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等が問われます。収益シミュレーションとして、3年~5年間の新規事業の収益予想を数値で示し数値の根拠をコスト削減等の事実や妥当性のある算出方法等によって説明することがポイントです。この数値の根拠は、実現可能性を示すことに繋がりますので、楽観的な予測よりも悲観的(堅実)な予測を示し、十分事業として成立することをアピールする、ことが重要となります。また、補助事業を実施した結果、何年間の収益(営業利益等)で投資額を回収できるのか、投資回収期間も併せて示すことで「費用対効果」の妥当性が高まります。

審査項目の(3)事業化面を説明とました。事業化面は、技術面に次いで重要な審査項目であり、事業化面の4つの小項目に対応した内容を事業計画に記載することで審査員が知りたい情報を確実に伝えられ採択率が格段に高まります。次回は、審査項目の(4)政策面を説明します。

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