厳しい外部環境のなかでも企業の成長のきっかけをつかむために、ものづくり補助金を活用した設備投資は有効な手段の一つです。一方で、直近の決算が赤字といった財務状況などに不安を抱える会社が増えています。そうした状況でものづくり補助金の採択を受けられるか心配になるでしょう。今回の記事では会社の財務面や人材面が、ものづくり補助金の採択にどのように影響するかについて説明します。
ものづくり補助金の公募要領には、「審査項目・加点項目」という章があります。事業計画は、上記の項目に沿って審査されます。
詳細は審査項目の記事(https://procon-hojyokin.com/shinsakoumoku1/)、加点項目の記事(https://procon-hojyokin.com/mono-katen1/)を参照してください。
当記事では審査項目「(3)事業化面」のうち、次の記載に注目します。
「補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。」
補助事業を実施するうえで、実施体制と財務状況が適切であるかが問われています。それぞれについて見ていきましょう。
下図は申請者の従業員数と、ものづくり補助金の採択率の関係を示しています。
出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)
上図の通り、従業員数が5人以下の企業では、6人以上の申請者と比較して採択率が低い傾向があります。従業員が5人以下の企業は、少ない人員でも補助事業を確実に実施でき、成果に結びつけられる根拠をより明確に示す必要があるでしょう。例えば、社内の人材を具体的に示すことも有効です。どのような経歴や知見をもち、これまでの成果等を丁寧に示しましょう。
また、「社内外の体制」とあるように、実施体制は社外も含めることができます。特に小規模事業者にとって社外の協力先を得ることは重要です。自社で充足できない部分を社外の力で補うことで、確実な成果に結びつく体制を示しましょう。
補助事業の実施体制は、審査項目「(2)技術面」のうち次の項目にも関連します。
「補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。」
補助事業を実施するための技術・ノウハウがあるか、または得られる見込みがあるでしょうか。ここでも社外から技術・ノウハウを得ることは有効な手段です。
補助事業実施にあたっては「事務処理能力」も重要です。補助事業のスケジュールを守り、円滑に事業を遂行するためには欠かせません。社内でどのように補助事業の支援体制を構築できるか十分に考慮しましょう。
赤字や債務超過など、業況が厳しい場合でも、ものづくり補助金の採択は受けられるのでしょうか。
結論から言うと採択される可能性がありますが、より厳しい目で審査されるでしょう。
なぜなら、ものづくり補助金は新たな投資によって生産性を向上させ、雇用や賃上げに結びつく事業を支援するものだからです。補助事業は一時的な支援措置ではなく、将来にわたって有効な投資となる必要があります。補助事業がどのように成果に結びつくのか、実現性の高い計画を示す必要があります。
また、補助事業実施期間中の資金計画も重要です。ものづくり補助金は補助事業が完了した後に支払われます。まずは設備等の投資資金の全額を自社で用意しなくてはなりません。そのため補助金の入金までのつなぎとして金融機関の協力を得るなど、資金面でも十分に検討できていることを示しましょう。
ものづくり補助金では「回復型賃上げ・雇用拡大枠」という特別枠があります。これは「業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者」を特に支援する枠として用意されています。
下表はものづくり補助金、第15次締切における申請枠ごとの採択率を示しています。
出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)をもとに作成
上表の通り、「通常枠」と「回復型賃上げ・雇用拡大枠」を比較すると採択率はほぼ同じです。
つまり業況が厳しい事業者であっても、採択を受けることは十分に可能です。
今回の記事では申請者の財務面や人材面が、ものづくり補助金の採択にどのように影響するかについて見てきました。将来を見据えた事業計画を策定し、新たな投資によって厳しい環境を乗り越えていきましょう。
当プロコン補助金.comでは、プロのコンサルタントによる申請サポートにより、多くの中小企業の採択に貢献してきました。ものづくり補助金の申請についてご相談がございましたら、是非一度プロコン補助金.comにお問い合わせください。