ものづくり補助金の18次公募では、17次で現在公募中の省力化(オーダーメイド)枠に加えて、製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)・(成長分野進出類型(DX・GX))、グローバル枠が公募されました。
今回の記事では、グローバル枠について、16次まで公募されていたグローバル市場開拓枠との比較も交えて解説します。
公募要領には、グローバル枠について以下の様に書かれています。
・海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに必要な設備・システム投資等を支援します
・海外事業とは、①海外への直接投資に関する事業、②海外市場開拓(輸出)に関する事業、③インバウンド対応に関する事業、④海外企業との共同で行う事業をいいます。
・グローバル枠において、①海外への直接投資に関する事業を行う場合であって、海外子会社又は海外支店が主たる補助事業実施主体となる場合は、日本国内の本社に対して補助対象事業の申請要件が適用されます。
・グローバル枠において、新商品・サービスの開発改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組みを目的とする事業であり、事前にマーケティング調査(実現可能性調査)を実施し、その結果に基づく開発改良、ブランディング等を行うことが基本要件となります。
これらの記載内容から、18次公募のグローバル枠の対象となる事業については、16次までのグローバル市場開拓枠と大きく変更がないと考えられます。
グローバル枠には、以下の様な特徴があります。
グローバル枠の補助上限額は3,000万円(大幅賃上げ係る補助上限額引き上げの特例を適用した場合の補助上限額は4,000万円)、補助率は2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)となります。
通常枠など他の枠とは異なり、従業員数に応じて補助上限額が変わらない、という特徴があります。
※ものづくり補助金公募要領(18次締切分)より当社作成
前身のグローバル市場開拓枠では、様々な海外事業に対応するため、海外事業を「海外直接投資類型」、「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」、「インバウンド市場開拓類型」、「海外事業者との共同事業類型」の4つの分類に類型化していました。
18次公募においては、「各事業要件」という名称に変わり、それぞれ以下のような追加の提出書類が必要です。
・海外への直接投資に関する事業
海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料
・海外市場開拓(輸出)に関する事業
事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書
(製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客であることが分かる資料)
・インバウンド対応に関する事業
想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書
(製品・サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人であることが分かる資料)
・海外事業者と共同で行う事業
共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)
(日本語で作成されたもの、若しくは日本語訳をつけたものに限る)
18次公募において、表現は一部変わりましたが、前身のグローバル市場開拓枠での追加書類とほぼ同様の書類が必要になると考えてよいでしょう。
グローバル市場開拓枠の類型について詳しくはこちらの記事「ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠について解説します(2)」をご参照ください。
これまでの採択率について、全体の平均とグローバル系の枠(4次~13次は「グローバル展開枠」、14次~16次は「グローバル市場開拓枠」)を表にまとめました。
※ものづくり補助金総合サイト「データポータル」より当社作成
ご覧のように、グローバル系の採択率は全体平均と比較すると低く、直近の16次では3割を下回る結果となっています。
一般枠と比較して補助上限額が高いことや、後述する固有の補助対象経費が認められていることなどから、競争が激しいことが読み取れます。
以上の特徴をふまえて、グローバル枠での申請を検討する際には、自社で対応するか、専門家に相談するか等を事前によく検討しましょう。
前身のグローバル市場開拓枠では、機械装置・システム構築費や技術導入費、専門家経費などの他の枠と共通の経費の他に、「海外旅費」「通訳・翻訳費」「広告宣伝・販売促進費」の3つの固有の経費が対象となっていました。
18次公募のグローバル枠でも、同様に「海外旅費」「通訳・翻訳費」「広告宣伝・販売促進費」の3つの固有の経費が対象となっています。
ただし、「通訳・翻訳費」「広告宣伝・販売促進費」は「海外市場開拓(輸出)に関する事業」のみが対象となります。
(グローバル市場開拓枠の対象経費について詳しくはこちらの記事「ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠について解説します(1)」をご参照ください。)
今回は、ものづくり補助金18次で公募されているグローバル枠について解説しました。
海外展開を検討する際にはよく内容を理解し、上手に活用しましょう。
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