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ものづくり補助金の対象経費について解説します(2)

この記事では、「ものづくり補助金」の対象経費について説明します。
前回は「機械装置・システム構築費」について解説しましたが、今回は「技術導入費」、「専門家経費」、「外注費」について詳しく解説していきます。

(1)技術導入費のポイント

「技術導入費」は、本事業の遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費のことを指します。
知的財産について、公募要領では範囲が明示されていませんが、一般的には特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権、営業秘密に関する権利等が対象経費になると考えられます。

これは他者の知的財産等の取得に関する費用についても対象経費となりますが、公募要領には
「知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要となります。」
とありますので注意が必要です。

(2)専門家経費のポイント

「専門家経費」は、本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費のことを指します。
有識者などにコンサルティングを依頼する費用やそれにかかる旅費を対象経費とすることができます。

「専門家」については特に範囲は明示されていませんが、公募要領に名前が出てくるだけでも、学識経験者、兼業・副業、フリーランス、大学教授・准教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ、等、幅広い専門家に依頼することが可能と考えられます。

注意点としては、専門家によって日当の上限が決められており、最大でも1日5万円が上限とされています。
専門家ごとの日当の上限は公募要領をご確認ください。

また、助言を受ける内容についても制限があり、例えばこの補助金の応募申請時の支援に対する費用は補助対象経費になりません。また、税理士や会計士に対して発生する、決算書・税務申告・報告書の作成に関する費用も対象外となります。
あくまでも補助事業の遂行に必要な専門家のアドバイスに対する費用、と考えるのがよいでしょう。

(3)外注費のポイント

「外注費」は、新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費を指します。
一般的には自社以外に業務を依頼すれば「外注費」となりますが、ものづくり補助金における外注費はその範囲が限定されることにご注意ください。

例えば、機械装置等の製作を外注する場合や、システムの構築(プログラミング等)の外注する場合の費用は外注費ではなく、「機械装置・システム構築費」に計上します。

委託する外注先に制限があることにもご注意ください。公募要領には以下の企業への外注費は対象外と明記されています。
・同一代表者・役員が含まれている事業者、資本関係がある事業者
・過去1年間に令和元年度補正・令和2年度補正・令和3年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業で補助事業を実施した事業者(14次公募の場合)
特に後者の場合は相手先に確認をしなければわからないことが多いので、外注先として検討している企業には事前に確認をしましょう。

また、外注費も技術導入費と同じく、書面による契約の締結が必要です。

(4)技術導入費、専門家経費、外注費に共通する注意事項

今回ご紹介した「技術導入費」「専門家経費」「外注費」を同一の取引先に併せて支払うことはできません。一社に全てを任せてその対象経費を補助金で賄う、ということはできませんのでご注意ください。

また、ものづくり補助金には「補助事業期間」が定められており、その期間内に事業を完了し、支払いまで済ませなければ補助金を受け取ることができません。
今回ご紹介した対象経費は、いずれも完了までに時間がかかる可能性の高い経費ですので、計画的に事業を行い、期間内に完了できるようにしましょう。

出展:ものづくり補助金総合サイトをもとに当社作成

(5)まとめ

以上、今回はものづくり補助金の対象経費として、「技術導入費」「専門家経費」「外注費」のポイントを解説しました。
今回ご紹介した経費は、自社だけではカバーできない部分を他者の協力で補うことができる経費とも言えます。
自社の限られたリソースを最大限活用するためにも、これらの対象経費を上手に使いましょう。

次回も、今回ご紹介できなかった対象経費の区分について解説します。

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