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ものづくり補助金の採択率の傾向(2)

ものづくり補助金の採択率の傾向(2)

前回はものづくり補助金の採択率の推移と、申請タイミング、申請額、加点と採択率の関係性について説明しました。
本記事では、ものづくり補助金の採択率と業種、従業員数、支援者の関与、作成時間について見ていきます。

ものづくり補助金の採択率と業種

下図は申請者の業種と採択率の関係性を示しています。

ものづくり補助金の採択率の傾向②_図表1_業種

出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/

業種は製造業が突出して多く、申請数全体の4割以上を占めています。製造業では機械装置の導入に補助金を活用するイメージが浸透していることが一因として考えられます。また、この補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で業種を限定した補助金ではありませんが、「ものづくり補助金」と呼ばれることから、製造業に特化した補助金として認識されることも考えられます。

ものづくり補助金の採択率を業種別に見ると、やはり製造業が高い傾向があります。一方で、情報通信業、卸売業・小売業、医療・福祉では顕著に低下しています。これは前回の記事でもお伝えした、「革新的」な事業計画を示せるかどうかが鍵になるかもしれません。製造業では、「新商品の開発」や「生産プロセスの改善」のための機械導入など、補助金で行う設備投資と生産性向上が直結することが多いことが一因として考えられます。一方、卸売業・小売業では設備投資によって他と差別化するような「革新的」な取組みを示しにくい傾向があると推測できます。第三者にも伝わる「革新的」な取組みを事業計画で示せているかを確認しましょう。

採択率と事業計画書の作成時間

下図は事業計画書の作成時間と採択率の関係性を示しています。

ものづくり補助金の採択率の傾向②_図表2_作成時間

出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/

「10時間以内」の短時間で作成した計画書では顕著に採択率が低下しています。ものづくり補助金の審査項目には「適格性」「技術面」「事業化面」「政策面」などがあり、こうした多面的な観点での審査に足る計画書の作成には相応の時間を要します。ものづくり補助金の採択率は「70時間以内」が最も高くなっています。
一方で、120時間超で採択率が低下しています。これは事業計画書の作成時間以外の根本的な原因に気づかず不採択と再申請を繰り返し、事業計画書の作成時間が長くなっているのかもしれません。「申請要件を満たしていない」、「事業計画の方針が補助金の用途と一致しない」など、不採択となる何らかの原因が潜んでいる可能性があります。申請要件を満たしているかや、事業計画で示す設備投資が他社との差別化や競争力強化に寄与することを説明できているか等、公募要領を再確認してみましょう。

採択率と申請者の規模(従業員数)

下図は採択率と申請者の規模(従業員)との関係性を示しています。

ものづくり補助金の採択率の傾向②_図表3_従業員数

出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/

従業員数20人以下の企業で採択率の低下が見られます。特に5人以下と21人以上では20%超もの開きがあります。審査項目では補助事業を適切に遂行できる社内外の体制や財務状況が問われます。例えば従業員数が少ない企業は、人材やノウハウの蓄積が不十分と判断されてしまうなど、ものづくり補助金の採択率に影響している可能性があります。社外の協力先も含め、補助事業を実施する適切な実施体制や、投資にあたり資金調達の見込みも示しましょう。

採択率と支援者の関与

下図は採択率と支援者の関与(補助金に対する報酬の比率)の関係性を示しています。

ものづくり補助金の採択率の傾向②_図表4_支援者の関与

出典:ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/

支援者とは、補助金申請を行う際の相談や資料作成補助等を行う外部機関を指します。「支援なし」での申請の採択率44.8%に比べ、「支援あり/報酬~10%」では採択率68.7%と、約24%の開きがあります。「支援なし」の場合、事業計画書で重要な情報や客観的な説明が欠けているなど、内容を十分に伝えきれていない可能性や、申請要件不備の見落としも考えられます。多面的な審査に足る、補助事業に相応しい事業計画書を作るため支援者を活用しましょう。

事業計画書の作成は補助金申請のためだけではありません。自社の競争環境の把握や、事業が現実的かどうかの判断のためにも重要です。その意味でも、革新的かつ実現可能な事業となっているか第三者の視点を活用し確認しましょう。

今回の記事では業種、作成時間、従業員数、支援者の関与と、ものづくり補助金の採択率の関係について説明しました。前回の記事と合わせ、申請に向けての参考としてください。

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