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【2024年】事業再構築補助金の採択率 その傾向と対策とは?

【2024年】事業再構築補助金の採択率 その傾向と対策とは?

事業再構築補助金の採択率は第11回で従来に比べ大幅に低下しました(第10回48.1%、第11回26.5%)。これは事業再構築補助金に対し、効果や採択審査に対し厳しい指摘が相次いだことが要因でしょう。それを受けて大幅な審査の見直しが行われました。第12回公募でも抜本的な見直しが行われ、半年以上の大幅な延期を経て再開されました。本記事では事業再構築補助金のこれまでの経緯と採択率を高めるための傾向と対策について説明します。

事業再構築補助金の採択率の推移とこれまでの経緯

事業再構築補助金の採択率にはどのような傾向があるのでしょうか。下図は事業再構築補助金の応募・採択件数および採択率の推移を示しています。

2024事業再構築補助金の採択率_図表1_採択率推移

出典:事業再構築補助金 採択結果(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

事業再構築補助金の新設

事業再構築補助金は第10回までは概ね44%~52%の範囲で推移しています。第1回の申請数が最も多く、2万2千件を超える応募がありました。第1回公募は2021年3月26日公募開始、4月30日締切で、新型コロナウイルス感染症の拡大による最初の緊急事態宣言から1年後というタイミングでした。コロナ禍の長期化が多くの企業に深刻な影響を与えていたことが伺えます。

制度の見直しと新型コロナの影響の長期化

その後、回を重ねて第6回公募で大幅に申請数が低下しています。第6回公募では、申請枠や申請要件、補助金額上限引き下げ等の見直しが行われました。これは事業再構築補助金に対する厳しい指摘を受けての見直しでした。フルーツサンド製造販売事業が多数採択されるなど、一過性の流行に乗った安易な事業再構築への指摘がありました。加えて、補助金がコスト意識の低下を招き、事業規模に見合わない過大投資を誘発しているとの指摘もありました。また、第1回から1年後というタイミングで、新型コロナウイルス感染症の影響は依然続くものの、事業再構築に対する緊急性が高い企業の申請が一巡したことも一因でしょう。

新型コロナ対策の終息と審査の見直し

そして、やはり第11回公募での採択率の大幅な低下が目につきます。これは2023年秋の政府の審議会や事業レビューで厳しい指摘が相次いだことが大きな要因でしょう。新型コロナウイルス感染症対策が終わりに向かうなかで、「役割は終わりつつある」との指摘があり、廃止または抜本的な再構築が求められました。これを受けて、当初は2023年12月下旬~2024年1月上旬頃の採択発表が予定されていましたが、「審査に時間を要しているため」との理由で1カ月延期となりました。

下図は事業再構築補助金への指摘を示しています。

2024事業再構築補助金の採択率_図表2_事業再構築補助金についての指摘

出典:財務省 財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20231011zaiseia.html

採択された計画の中に安易な事業再構築が散見されることから、審査体制の見直しの必要性が指摘されました。第10回公募でゴルフ関連の採択件数が79件にのぼるなど過度な集中が見られます。こうした一時的な流行などの安易な事業計画に対する採択の抑止が求められました。
こうした経緯を受けて、第11回公募の審査基準をより厳格にする見直しが行われ、それが採択率の大幅な低下につながったと考えられます。

抜本的見直しが行われた第12回公募

指摘に応える形で制度の在り方も含め抜本的な見直しが行われ、実に半年ぶりの再開となったのが第12回公募です。下図は第12回公募の抜本的見直しの概要を示しています。

2024事業再構築補助金の採択率_図表3_事業再構築補助金の抜本的見直し

出典:中小企業庁 第12回公募実施について(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/2024/240423kobo.html

抜本的見直しの内容は、制度の見直し、審査の厳格化、報告と効果検証の強化となっています。
制度の見直しでは、6枠から3枠へと簡素化となっています。しかし、そのうち2枠はさらに2類型に分かれ、5類型からの選択となり、依然として複雑です。事前着手制度は原則廃止されました。交付決定以降の発注となるため、建物工事や機械の納品などのスケジュールに注意が必要です。
また、イメージしづらいものは審査の厳格化ですが、自社独自の事業計画を作成できていれば他社と類似することは考えづらいため、事業者にはあまり影響はありません。
報告、効果検証の強化により、事業化段階の報告義務が四半期毎となります。従来の年1回に比べて大幅に事務負担が大きくなります。

第12回公募に向けて事業再構築補助金の採択の可能性を高めるには?

抜本的見直しといっても原則的な考え方は変わりません。自社が取り組む新規事業について多面的な検証のうえ、実現性の高い計画が構築できているでしょうか。同時に事業再構築補助金の目的に沿っているかの検証が必要です。以上を踏まえて事業計画を考える上で気を付けるべきポイントを見ていきます。

新規事業が不明確

事業再構築補助金は、再構築事業となる新たな取組みに対して補助するものです。既存事業は対象になりません。審査が厳格化されたことで、事業の新規性がより厳しく問われます。既存事業と新規事業の違いが不明確な事業は補助金の趣旨に沿わないと見られる可能性があります。
例えば、既存事業で新築住宅の建設を行っている企業が、新規事業として、より断熱性能が高い新築住宅建設を行うといった場合です。既存事業と新規事業で明確に異なるとは言いづらい内容です。また提供する顧客にも違いがありません。
製品・サービスに新規性があるか、ターゲット顧客が明確に異なるかを検証しましょう。

安易な事業再構築

一過性の流行による安易な事業再構築は度々指摘されてきました。そのような新規事業は短期的には事業化に成功しても長期的には持続できません。自社の将来を託す事業として相応しいとは言えないでしょう。長期的視点で自社を成長に導ける事業であるかを検証しましょう。事業再構築への指摘がされた「ゴルフ」、「エステ」、「サウナ」の事業が必ずしも安易というわけではありません。実際に第11回でも少数ながら採択された事例があります。自社独自の強みで差別化し、長期的な成長が見込める事業であれば採択の可能性があります。

経費内容は補助対象となるか

申請する経費についても注意が必要です。公募要領に記載された補助対象経費の規定に沿ったものか、特に対象外とされる経費が含まれていないかに気を付けましょう。事業計画の内容が良くても、経費内容の大半が対象外経費では補助事業が実施できず不採択となりえます。
また、サプライチェーン強靭化枠では他の申請枠とは対象となる経費が異なりますのでご注意ください。

事業再構築補助金の採択率を高める傾向と対策

今回の記事では事業再構築補助金の経緯を踏まえて、その採択率を高める傾向と対策について説明しました。ここで強調したいポイントは、採択を目的としないことです。採択されてもそれが実現不可能な事業や、自社にとってマイナスになるような事業ではいけません。自社の将来をかけるに足る新たな事業を立ち上げ成功させることが大事です。本末転倒とならないように多面的に事業を検証し、新たな一歩を踏み出しましょう。

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