「大規模成長投資補助金」(正式名称:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金)とは、地域の雇用を支える中堅・中小企業が、人手不足等の喫緊の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資を促進することで、地方における持続的な賃上げを実現することを目的とした補助金です。
(補助金の詳細についてはこちらの記事をご参照ください。「大規模成長投資補助金の概要と特徴」)
この補助金は最大50億円の補助を受けられるため、大規模な工場や倉庫建設の投資なども対象となります。
今回は、その中でも物流センター・倉庫を補助対象とした「大規模成長投資補助金」の活用について詳しく解説します。
公募要領の審査基準「②先進性・成長性」の中には、以下の様な記述があります。
(イ) 補助事業により、労働生産性の抜本的な向上が図られ、人手不足の状況が改善される取組となっているか(労働生産性の伸び率及び付加価値の増加額が十分に高い取組か)。
物流センター・倉庫への投資は、この基準を満たす取組となる可能性が高いと言えるでしょう。
第一に考えられるのは、物流センター・倉庫の新設です。
近年、物流に関する設備は急速に進化しています。
センサー・カメラ・自動搬送ロボット・AI・IoTなどを活用した施設にすることで、商品の入出荷、検品、在庫管理など様々な場面において大幅な省力化・業務効率化が可能となります。
次に考えられるのは、現在稼働している物流センター・倉庫の施設はそのまま活用し、内部のレイアウト変更や最新設備の導入を行うものです。
現在よりも省力化・業務効率化を実現する取組でありながら、新設よりも資金面・スケジュール面のハードルを下げることが可能となります。
最後に、大規模成長投資補助金ではソフトウェアの購入や情報システムの構築も補助対象となるため、物流センター・倉庫の管理システムへの投資も効果的です。
物流業界ではDXへの対応が急務となっており、高速ネットワークへの対応、クラウドベースのシステムへの移行、セキュリティ対策の強化など、投資すべきポイントは多岐にわたります。
これらに補助金を活用することによって、競争力の向上と効率的なシステムの構築を実現させることが可能となるでしょう。
施設を建設または改修する際の経費区分である「建物費」には、「建物の単なる購入や賃貸、土地代は対象外となります。また、建物における「構築物」(門、塀、フェンス、広告塔等)は補助対象外、撤去・解体費用も補助対象外です。」と記載されています。
なお、設備投資においても、「機械装置費」には「車両及び運搬具に係る経費は補助対象外」とありますので、物流業務に使用するトラックなどは申請することができません。
金額の面では、最低10億円以上の投資規模が必要になること、またスケジュール面では補助事業期間内に補助事業が完了し実績報告書を提出する必要があること等を事前によくご確認ください。
特に建物の建設においては事業期間が長くなる事が予想されるので注意が必要です。
今回は大規模成長投資補助金において、物流センター・倉庫へ活用するためのポイントを解説しました。
多額の資金を要する投資に補助を受けることにより、資金繰り面でも大きな恩恵を受けられます。
投資内容をよく検討して、有効に活用しましょう。
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