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ものづくり補助金申請を考えてみませんか?~アプリ開発編~

「こんなビジネスのアイデアがあるけど、ものづくり補助金の対象になるのだろうか」

「公募要領を見てもよくわからない。当社の事業で申請できるのか。」

といったように、ものづくり補助金(正式名:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)についてのお問い合わせを多くいただきます。いずれのお問い合わせに対しても、補助金の公募要領に記載してある内容を読み込めば理解でいただけるのですが、本業に忙しい経営者の皆様にとっては、そんな時間も確保できない状態もあるかと思います。

皆様の疑問にお答えするために、ものづくり補助金にどのような事業が採択されているかをシリーズでご紹介します今回は、「ものづくり」という言葉から少し距離を感じる「アプリ開発」を取り上げます。

なお、ものづくり補助金の採択企業は、「ものづくり補助金成果事例サイト」から検索できます。
その採択企業の概要から、ものづくり補助金のポイントについて明らかにしていきます。

出典元リンク:トップページ|ものづくり補助事業関連サイト (monodukuri-hojo.jp)

1.ものづくり補助金成果事例

「ものづくり補助金成果事例サイト」で、例えば、検索キーワード「アプリ」で検索すると、150件以上の事例がヒットします。(2022年3月16日現在)活用事例集には多岐にわたる事業が掲載されていますので、ものづくり補助金に興味を持たれた方は、検討している事業に関連するキーワードで検索することをお勧めします。成果事例のストーリーが、自社の事業展開の参考になることでしょう。

システム開発を行うある企業を例にとると、地域の宿泊業向けの新システムの開発を行うために、補助金を活用されたそうです。また、他の事例では、地域の診療所向けの診断補助アプリ開発のために補助金を申請し、医者の負担を軽減するシステム開発に成功され、大きな成果をあげられています。

以上はほんの一例ですが、「アプリ開発」でも数多くの事業に補助金が活用され、事業開発の役に立っていることがわかります。

2.審査項目とポイント

「ものづくり補助金」は、公開されている明確な審査項目に準じて審査されます。審査項目を確実に抑えて事業申請書を作成することが求められる、ということです。当時の採択基準とは異なっている部分も一部ありますが、成果事例企業から、最新の公募要領と照らし合わせたときにポイントとなる点をご紹介します。

①革新性
公募要領の審査項目には、以下の記述があります。

「新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。」

革新的といわれると、かなりハードルが高く受け取られるかもしれませんが、成果事例を見ると印象が変わるかもしれません。成果事例のそのほとんどが、すでによく知られた物同士の新たな「組み合わせ」であることがわかると思います。前述した宿泊施設向けのシステムでは、居酒屋などで使われているタッチパネルと、施設内の既存のサービスを結び付け、より充実した顧客サービスの提供につなげていらっしゃいます。
また、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に具体的な技術の指針が示されているので、アイデアを検討する際に参考になると思います。

②地域性
公募要領では、申請しようとする事業が、地域の特性を活かした事業かどうかが問われています。

地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できる」

事業計画を立てる際に、地域性を上手く活用して、地域への経済的波及効果を意識することが重要になります。こちらもそれほど難しく考える必要はないでしょう。前述した成果事例としては、地域の宿泊施設や、病院向けの事業を起こしており、副次的に地域の活性化も期待される内容となっています。

3.特別枠(デジタル枠)と加点ポイントについて

公募要領には、どの項目を審査するのか、そして、採択検討の際に有利となる加点ポイントについてまとめられています。また、通常枠以外に特定の要件を満たす事業に特別枠が設定されています。
ここでは、アプリ開発に関係する特別枠や加点項目について、ご紹介します。

①デジタル枠について

補助金額は通常枠と同様ですが、デジタル枠として特別枠が設けられています。
デジタル枠の要件は以下の通りです。

出典:ものづくり補助金公募要領〔一般型・グローバル展開型〕(10次締切分)

デジタル枠としては以下の申請要件が必要になりますので、事前の準備等にご注意ください。

出典:ものづくり補助金公募要領〔一般型・グローバル展開型〕(10次締切分) 概要版

①②の例としては、AI・IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)や、生産プロセス、サービス提供方法の改善があります。
ただし、「単にデジタル製品の導入やアナログ・物理データの電子化にとどまり、既存の業務フローそのものの見直しを伴わないもの、及び導入先企業において前述の単なる電子化にとどまる製品・サービスの開発は、補助対象経費になりません。」という注意書きがあるので、申請前に補助金申請事業の確認をお願いします。例えば、帳票の電子保存システム・デジタルスキャナ・電子契約書サービスの導入等、電子書籍・デジタル卒業アルバムサービスの開発等は対象外となります。

DX化推進指標の自己診断は、IPA(情報処理推進機構)のwebサイトから、電子申請ができます。
必要な書類は、エクセル形式の自己診断書になります。DX化の各項目について、現状と目標を記入する必要があります。なお、電子申請に当たってgBizIDの取得が必要となりますので、早めに取得しておきましょう。SECURITY ACTIONは、情報セキュリティ対策支援サイト上で手続きを進めていけば申請ができますので、まずはWebサイトをご確認ください。

②加点項目について

デジタル枠のみ対象で、「デジタル技術の活用及びDX推進の取り組み状況」を申請時に提出することで、加点を得られます。
どのような内容かというと、経営の方向性やデジタル技術の活用の方向性、方策、体制、人材といったデジタル技術の活用等における「具体的な取り組み状況」を確認するためのものです。自社の具体的な取り組み状況は、Webサイトで公表し、かつ、前述したDX化推進指標の人材に関する項目を記入することで、実際に取り組んでいるとみなされ、デジタル枠の加点対象となります。(確認書のリンク加点を得られると、採択率が格段に上がります。以下の図は6次~8次のものづくり補助金の採択率をまとめた結果です。加点0の場合は採択率が24.4%ですが、加点1になると44.8%、そして加点2となると62%まで上がります。加点項目は他にも設定されているので、加点対象となる場合は必ず押さえておいてください。
出典:ものづくり補助金総合サイト データポータル

4.まとめ
いかがでしたでしょうか。ものづくり補助金における、「アプリ開発」の申請内容について、成果事例を交えながらいくつかのポイントをご紹介しました。今回の記事が、ものづくり補助金申請に躊躇されていた皆様に届き、申請に前向きな気持ちを抱くきっかけになれば幸いです。
次回は、別の事業を取り上げますので、ご期待ください。

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