中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業を支援する補助金です。
この補助金は2025年に新設され、成長に向けた設備投資などを支援します。本記事では、中小企業成長加速化補助金が目指す「売上高100億円企業」が求められる背景、および飛躍的成長への道筋についてお伝えします。
中小企業成長加速化補助金は、飛躍的成長に向けた建物費や設備投資などに活用できます。対象経費は以下の通りです。
建物費
機械装置等費
ソフトウェア費
外注費
専門家経費
補助上限額5億円で補助率は1/2です。建物費も対象経費ですので、新たな拠点の工事に活用できます。工場や物流拠点の新設・増築などが想定されます。また、イノベーション創出に向けた機械設備の導入、革新的な生産性向上のためのシステム構築といった経費にも活用できます。このように、売上高100億円への成長を強力に支援します。
中小企業成長加速化補助金が目標とする「売上高100億円」には、どのような意味があるのでしょうか。日本経済・社会情勢の変化に伴い、中小企業には変革・成長が求められています。日本国内は人口減少により需要が伸び悩み続ける恐れがあります。とりわけ地方圏での生産年齢人口の減少が深刻です。そのため、日本経済・地域経済の発展を担い、地域経済を力強く先導する企業が求められています。そして、100億円企業はその一つの目安となる企業規模です。この規模に達することで、以下のような効果が期待されます。
・輸出等により地域外の需要を獲得し、地域内で調達することにより地域のサプライチェーンに新たな需要を生み出す。
・地域の中核的な企業として成長・発展し、賃上げ等により人材を確保し、投資を積極的に進めていくことで、地域経済を発展させる。
しかし、100億円企業は三大都市圏(東京、大阪、愛知)に集中し、地方には少ないのが現状です。下図は、業種別100億円企業の地域分布を示しています。
出典:中小企業庁「令和6年 中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」
地方では成長のポテンシャルはあるものの、成長機会を得られず芽が出にくい状況があります。そうした環境下にある企業に対し、100億円企業への成長を後押しする支援策が中小企業成長加速化補助金です。
「100億円企業」は決して実現不可能な目標ではありません。下図は、売上高10-70億円台から売上高100億円以上に成長した企業1,653社の調査データです。これは、各企業における飛躍的成長の起点となった売上高と、売上高100億円に達するまでの成長期間を表しています。
出典:中小企業庁「令和6年 中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」
上図の横軸は、100億円企業への成長の起点となった企業規模です。10-70億円の間で緩やかに分布していることが見て取れます。
やはり70億円台が最多であるものの、それ以下の規模であっても短期間に100億円企業に成長する企業は少なくありません。とくに、20億円台から成長した企業数は40億円台から成長した企業数と比較しても遜色がありません。つまり、売上高40憶円以下の企業においても、100億円企業への飛躍的成長は十分に実現可能な目標だと言えます。
売上高100億円に達する企業はどのような規模なのでしょうか。下図は中小企業における売上高規模および従業者数規模の分布を示しています。
出典:中小企業庁「令和6年 中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」
上図のとおり、売上高100億円以下の企業は、従業者数300人以下が大多数を占めます。一方で、売上高100億円超の企業では、300人超が大半を占めます。
中小企業の定義のひとつに従業者数があり、業種により異なりますが、最も多い業種でも300人以下と定義されています。つまり売上高100億円とは中小企業から脱し、地域の中核を担う中堅企業クラスへのステップアップの目安となる企業規模です。
飛躍的成長を実現するにあたっては、企業の成長ステージによって様々な課題に直面します。成長志向の経営者として、自社の成長段階に応じた課題を認識し、戦略を考えていかなくてはなりません。そして、その戦略に沿って設備、技術、人材等へ投資を行い、成長を実現に導くことが求められます。
特定の販売先に製品・サービスを供給するビジネスでは成長の伸び悩みに直面します。
そのため、自社が製品・サービスを提供できる成長市場を探索したり、事業コンセプトを確立する等の挑戦が求められます。また、取引先の拡大や、間接輸出による販路開拓など、新たなチャネルの獲得も重要です。これらにより、成長の足掛かりを探索します。
既存の製品・サービスの販売のみでは、売上拡大は頭打ちとなります。他方で、 既存の製品・サービスの売上高の維持も課題となります。
策定した事業コンセプトに沿って、製品・サービスの高付加価値化、販売先の拡大を目指します。独自性が高く参入障壁の高いビジネスモデルの確立も成長実現のために重要です。また、既存の販売先の囲い込みといった足元を固める施策も同時に求められます。間接輸出から直接輸出への切り替えによる、販売チャネルの高付加価値化も選択肢です。
自社の既存市場だけでなく、 新たな市場での一定のシェアの獲得・拡大が求められます。既存市場に対しては、さらなる高付加価値化、販売先の地理的拡大を目指します。また新市場に対しては、企業ステージに応じて事業コンセプトの精緻化も重要です。また、大規模投資を伴う生産・物流・販売拠点整備や、成長を加速させるM&Aも有効な打ち手です。海外の直接輸出強化といった販売チャネル整備も有効です。
中小企業成長加速化補助金の申請要件に、「売上高100億円を目指す宣言」があります。その「宣言・公表」のメリットとして、下記が挙げられています。
・「宣言」取得による補助金等の活用
・経営者ネットワークへの参加
・「宣言」マーク活用による自社PR
そして、100億円企業への成長を促進する環境づくりを意図しています。下図は、「売上高100億円を目指す宣言」が目指す、企業成長を加速させる好循環を表しています。
出典:中小企業庁「令和6年 中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」
売上高100億円は、「既存の事業の延長では達成できない高い成長目標」です。そのため、「100億円企業」に到達するには、自社内の取組みだけでは困難です。
この宣言は、高い成長意欲を持つ経営者が成長に向けた気づきを得る環境づくりを目指しています。また、「中小企業の成長を応援する」社会の機運醸成にもつながります。そうした機運は、成長に向けた資金調達や人材獲得・育成にもプラスに働きます。そのため、政府の後押しは、飛躍的成長実現のチャンスであると言えるでしょう。
本記事では、中小企業成長加速化補助金が目指す「売上高100億円企業」への成長についてお伝えしました。中小企業成長加速化補助金は補助上限額5億円、補助率1/2です。
また、さらに大規模な投資に対する支援策として、大規模成長投資補助金も有力な選択肢です。大規模成長投資補助金は補助上限額50億円、補助率1/3です。自社の成長ステージに応じてご検討ください。
売上高100億円企業への飛躍的成長は、自社のみならず、地域社会全体の成長をけん引するものです。成長を目指す経営者としてビジョンを持ち、挑戦を続けることで、100億円企業への成長は夢ではなく現実のものとなります。中小企業成長加速化補助金を起点として、新たな未来を切り開きましょう。
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