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【2025】建設機械導入に活用できる補助金を紹介します

建設業界において、IoTやDXに対応した建設機械の需要が年々高まっています。また建設機械の活用は、労働人口の減少や競合との差別化、生産性及び品質の向上といった建設業界の様々な課題を解決できるものとしても注目されています。建設業界のDX化は他業界以上に進んでおり、建設機械市場は今後さらなる成長が見込まれます。日進月歩で進化する最新鋭の建設機械は大変高額であるため、このような建設機械の導入を検討している中小企業では、「予算の確保が難しい」「建設機械の導入に活用できる補助金を知りたい」と考えている中小企業の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、建設機械の導入に活用できる補助金について解説します。
なお、一般的に「重機」と呼ばれる、土木工事や建設現場で使用される重機械も同様に補助対象となり得ますが、本記事では「建設機械」の表記で統一しています。

高まる建設機械導入のニーズ

一般社団法人日本建設機械工業会「建設機械需要予測(2025年2月)」によると、2024年度の建設機械の出荷金額は2兆9,690億円(前年度比11%減)となり、全体では4年ぶりの減少となりましたが、過去と比較しても高い水準にあります。2025年度の予測値については、前年と同程度の2兆9,714億円と予測されています。
要因としては、金利上昇などにより一時需要が収まったものの、安定した公共投資や民間設備投資などは今後も続くと考えられており、特に建設用クレーンの需要は好調と予想されています。


(一般社団法人日本建設機械工業会「建設機械需要予測」より当社作成)

また、単なる設備投資需要に留まらず、近年では建設機械へのIoT導入が進んでいます。
国土交通省が建設現場の生産性向上と働き方改革を目指して2024年4月に策定した「i-Construction 2.0構想」では、2040年度までに建設現場の生産性を1.5倍に向上させることを目標に掲げており、AIの進化や高速通信の普及などと組み合わさることで、日本の建設機械へのIoT導入は今後さらに加速し、建設業界の生産性向上や労働力不足の解消、安全性の向上に大きく貢献すると期待されています。

建設機械に活用できる補助金

建設機械の導入に必要な設備投資に対しては、その支援策として様々な補助金制度が用意されています。それぞれの特徴を踏まえて最適な支援策の活用をご検討ください。
ただし、多くの補助金ではナンバープレートのある車両は対象外となりますのでご注意ください。

(1)ものづくり補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援する補助金です。
その名称から製造業の工作機械などをイメージされることが多いですが、業種を問わず幅広く活用でき、ドローンも補助対象とすることが可能です。

補助金の概要
下図はものづくり補助金の概要を示しています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_ものづくり補助金概要出典:中小企業庁 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 リーフレット

ものづくり補助金の申請枠は、取り組む事業内容によって2つの枠に分かれます。
製品・サービス高付加価値化枠
革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化を目指す事業が対象です。ものづくり補助金の基本となる枠で、多くの事業がこの枠に該当します。
グローバル枠
海外事業の実施による国内の生産性向上を目指す事業が対象です。海外への輸出などを行う事業で、国内の生産拠点に対する設備投資を行う場合に対象となります。

対象経費
<各枠共通>
機械装置・システム構築費(必須)
機械設備、またはシステム構築のいずれかの投資が必須です。機械装置費、またはシステム構築費に該当する設備投資がない場合は申請できません。
<各枠共通>
技術導入費
専門家経費
運搬費
クラウドサービス利用費
原材料費
外注費
知的財産権等関連経費
上記の「機械装置・システム構築費」を主要経費としたうえで、補助的に上記の経費が計上可能です。試作のための原材料費、自社では実施できない業務の外注費が計上できます。
<グローバル枠のみ>
海外旅費
通訳・翻訳費
広告宣伝・販売促進費
上記経費はグローバル枠のみです。特に広告宣伝・販売促進費はグローバル枠のみとなる点にご注意ください。

補助額・補助率
製品・サービス高付加価値化枠
補助上限:
従業員規模ごとに補助上限額が設けられています。
5人以下750万円(850万円)
6~20人1,000万円(1,250万円)
21~50人1,500万円(2,500万円)
51人以上2,500万円(3,500万円)
()内は大幅賃上げ特例を適用した場合の上限額。
補助率:中小企業1/2、小規模事業者と再生事業者2/3
従業員数によって補助上限額が異なります。
グローバル枠
3,000万円(3,100万円~4,000万円)
()内は大幅賃上げ特例を適用した場合の上限額。
補助率:中小企業1/2、小規模事業者2/3
グローバル枠は従業員数による上限額の変動はありません。

スケジュール
下図はものづくり補助金の事業実施スケジュールを示しています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_ものづくり補助金スケジュール出典:中小企業庁 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 リーフレット

第19回の公募が2025年2月14日に開始されました。公募締切は2025年4月25日です。
補助金交付候補として採択された場合には、2025年8月から9月ごろに交付申請を行って、2026年春までに事業を実施するスケジュールです。
半年程度で事業を実施する必要があるため、事前にスケジュールに収まるかを確認した上で申請しましょう。

活用事例

ものづくり補助金を活用した建設機械関連の投資では、「生産性向上や持続的な新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援」とあることから、ユンボ(油圧ショベル)などの昔ながらの建設機械を導入する事業計画では採択が難しいと思われます。他社との差別化につながる特殊な用途のものや、最新のデジタル技術を活用したものへの投資が中心になると予想されます。

なお、ものづくり補助金公式サイトに掲載されている建設機械関連の過去の採択結果には、下記の事例があります。
・井戸掘削や温泉ボーリング工事などを手がける会社が最新鋭掘削装置(ボーリングマシン)を導入。鉄骨櫓が不要になり作業効率が改善、工期の短縮などを達成した。
・木質飼料の開発・製造に取り組んでいる会社が原材料加工用にスキットフォーク付きホイールローダーを導入。作業性・安全性が向上し、処理性能も向上したことで生産規模拡大に成功した。

ものづくり補助金の詳細は下記の記事も参考にしてください。
【2025】ものづくり補助金の概要 上限は最大4000万円/収益納付なし

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(2)躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京都)

こちらで紹介する助成金は、東京都に本店または支店があるなど地域が限定される制度となります。東京都の支援策は補助金ではなく助成金と呼びますが、用語の違いだけで同様に考えて差し支えありません。
地域等の申請要件を満たせば有力な選択肢となります。また、設備投資の地域は東京都内に限らず、近県での事業も対象となる場合があります。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」のための生産性向上を進める際に必要となる中小企業者等が、機械設備を新たに導入するための経費の一部を助成する助成金制度です。

補助金の概要
下図は前回公募となる第8回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業における概要を示しています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_躍進的な事業推進のための設備投資支援事業概要

出典:第8回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業WEBサイト

助成限度額が最大で1億円と、自治体が用意する支援策としては破格の規模です。そのため採択を得るのは難度が高い助成金ですが、事業計画と合致し、大きな投資が必要となる場合には活用できるか挑戦する価値があります。
取り組む事業内容により申請できる事業区分が異なります。申請回によって事業区分などの要件は変更となる可能性がありますので最新の公募要項を参照してください。

対象経費
機械装置、器具備品、ソフトウェアの新たな導入、搬入・据付等に要する経費

上記経費が対象となります。
このうち、ソフトウェアについては300万円以上1000万円以下と、助成金交付申請額の範囲が決められています。

助成額・助成率
助成金限度額:3000万円~1億円

助成率:1/2~3/4

助成限度額、助成率は申請する事業区分、要件により異なります。

スケジュール
下図は躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の事業実施スケジュールを示しています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_躍進的な事業推進のための設備投資支援事業スケジュール

出典:第8回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業WEBサイト

交付決定日の翌月1日から1年6か月が助成対象期間となります。
上図の通り、書類審査に加えて面接審査が実施されます。躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は難易度が高い助成金と言われていますが、面接審査があることや、公開されている審査基準が大まかであることがその一因となっています。事前の十分な準備と対策を要する助成金です。

特徴・活用例
前回公募となる第8回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業では下記の活用例が示されています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_躍進的な事業推進のための設備投資支援事業対象例

出典:第8回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 リーフレット

助成金額が大きいため、大型の建設機械の導入や、用途が異なる複数の建設機械の組み合わせなどが想定されます。
それぞれの事業区分ごとに合致する事業が異なるので、自社の取組みに最適な事業区分をよく検討した上で申請しましょう。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業については、下記の当社の申請サポートページも参考にしてください。

【採択率88%】第9回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

(3)設備投資緊急支援事業(東京都)

働き方改革関連法の時間外労働の上限規制が2024年4月から運送・物流、建設業等にも適用されたことにより運送・物流、建設業界で人手不足の深刻化や売上の減少等、いわゆる『2024年問題』が懸念されています。設備投資緊急支援事業は、『2024年問題』に対応するための設備投資等を支援する助成金です。そのため申請資格は『2024年問題』に関連する業種のみに限定されています。

補助金の概要
下図は前回公募となる第2回 設備投資緊急支援事業の概要を示しています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_設備投資緊急支援事概要

出典:設備投資緊急支援事業 リーフレット

働き方改革関連法の時間外労働の上限規制が適用された業種が対象となります。具体的には下記の3業種が対象です。

工作物の建設の事業
自動車運転の業務
医業に従事する医師

業種の限定はありますが、条件が合えば規模の大きい支援を得られます。

対象経費
時間外労働の上限規制による人材不足等『2024年問題』の対策のための機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入経費

上記の経費が対象となります。
機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入を通じて、人材不足の解消を目指す取組みを支援するものです。
東京都に本店がある企業であれば、機械の設置場所は東京近県も対象になります。具体的には下記の7県が対象となります。

神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県

助成額・助成率
助成限度額: 1億円

助成率:4/5

助成限度額が1億円と大きいことに加えて、助成率が4/5と、自己負担額が少ないことも特徴です。

スケジュール
下図は設備投資緊急支援事業の事業実施スケジュールを示しています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_設備投資緊急支援事業スケジュール

出典:第2回 設備投資緊急支援事業WEBサイト

設備投資緊急支援事業は年に2回程度の公募があります。交付決定日から1年6か月の助成対象期間があり、助成限度額1億円であることから、規模の大きい設備投資を含む事業内容に適しています。また、先述した躍進的な事業推進のための設備投資支援事業との併願も有力な選択肢です。

特徴・活用例
設備投資緊急支援事業では下記の活用例が示されています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_設備投資緊急支援事業想定事例

出典:設備投資緊急支援事業 リーフレット

働き方改革関連法の時間外労働の上限規制に対応して、人手不足を解消する取り組みに適しています。
助成金額が大きいため、大型の建設機械の導入や、省人化につながる制御ソフトウェアとの組み合わせなどが想定されます。

設備投資緊急支援事業については、下記の当社の申請サポートページも参考にしてください。

【採択率90%】第2回 設備投資緊急支援事業

(4)中小企業新事業進出促進補助金

中小企業新事業進出促進補助金は、既存事業とは異なる新事業への前向きな挑戦を支援する補助金です。事業再構築補助金の後継として2025年から新設されました。
新製品または新サービスといった新規事業への取り組みのための設備投資であることが必須の申請要件となります。既存事業の取り組みのための設備投資では申請できません。
そのため、導入する建設機械も既存事業に関連したものではなく、新たな分野に進出するために必要な設備である場合、補助対象とすることが可能です。

補助金の概要
下図は中小企業新事業進出促進補助金の概要を示しています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_新事業進出補助金概要
出典:中小企業庁 中小企業新事業進出促進補助金リーフレット

対象経費
建物費
構築物費
機械装置・システム構築費
技術導入費
専門家経費、運搬費
クラウドサービス利用費
外注費
知的財産権等関連経費
広告宣伝・販売促進費
上記経費が対象となります。ものづくり補助金とは異なり、中小企業新事業進出促進補助金では建物費が対象となります。また、事業再構築補助金では認められなかった、構築物費が対象となっている点も特徴です。
例として、新たな事業のために必要となる工場や倉庫の改装は建物費として補助対象となる可能性があります。

補助額・補助率
補助上限額:
従業員数20人以下 2,500万円(3,000万円)
従業員数21~50人 4,000万円(5,000万円)
従業員数51~100人5,500万円(7,000万円)
従業員数101人以上 7,000万円(9,000万円)
※補助下限750万円
()内は大幅賃上げ特例を適用した場合の上限額。
補助率:1/2
従業員数により補助上限額が異なります。

スケジュール
下図は中小企業新事業進出促進補助金のスケジュールを示しています。

【2025】設備投資に活用できる補助金_新事業進出補助金スケジュール出典:中小企業庁 中小企業新事業進出促進補助金リーフレット

2026年3月末までに4回程度の公募が実施され、6,000社程度が採択される見込みです。
交付決定日から14か月以内、または採択発表日から16か月以内のいずれか短い方が補助事業の実施期限となります。特に建物工事を伴う事業を行う場合は、事業実施期間内に工事が完了するかご注意ください。

特徴・活用例

中小企業新事業進出促進補助金は、新規事業への取り組みであることが大前提となります。補助上限額が大きいため、新ビジネスの事業拠点となる工場や倉庫の改装、複数の建設機械の導入や関連するシステム開発などの多額の設備投資を行う事業に適しています。一方で、既存事業への取り組みでは申請できません。また、補助下限額が750万円に設定されていますので、少額の投資では申請できません。

なお、前身である事業再構築補助金における建設機械関連の過去の採択結果には、下記の事例があります。
・ICT建機を導入して低コストかつ環境汚染のない地盤改良事業への参入
・高性能破砕機を導入して石炭の代替品となるRPF(産業廃棄物から作られる固形燃料)生産事業への参入
・コンクリート粉砕・加工機を導入してコンクリート端材のリサイクル事業への参入

中小企業新事業進出促進補助金の詳細は下記の記事も参考にしてください。
中小企業新事業進出促進補助金の概要 事業再構築補助金の後継補助金とは

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まとめ

本記事では、2025年の建設機械導入に活用できる補助金について解説しました。
補助金制度を活用した設備投資では、取り組む事業内容や投資規模、スケジュールなど、様々なポイントを勘案して最適な制度を選択する必要があります。
プロコン補助金.comでは、豊富な実績をもとに最適な補助金・助成金制度の提案が可能です。補助金、助成金を活用した設備投資をご検討中の方は是非一度、プロコン補助金.comにお問い合わせください。

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