
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、東京都が実施する設備投資系助成金の中でも、助成上限2億円・助成率4/5という非常に規模の大きい支援を受けられる制度です。一方で、本助成金では10年間の収支計画の作成や書類審査に加え、面接審査があるため、東京都の助成金の中でも難易度の高い助成金制度として知られています。
尚、当社でもこれまで躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の申請支援を行っており、直近の第10回公募ではDX推進区分で1社が採択されました。これにより、通算採択率は92%(11社/12社)となっています。
本記事では、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の概要と、採択に向けた事業計画作成のポイントについて分かりやすく解説します。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、令和2年まで実施されていた「革新的事業展開設備投資支援事業」の後継事業として、令和3年に開始されました。東京都の産業政策である「稼ぐ東京」をスローガンに、都内中小企業の成長投資を後押しすることを目的としています。
現在は、助成率4/5、助成上限2億円と、東京都の助成制度の中でも非常に規模の大きい制度となっています。
躍進助成金の助成率・助成額は以下の通りです。
| 事業区分 | 助成率※1 | 助成額 | |
|---|---|---|---|
| Ⅰ 競争力強化 | 中小企業者 | 3/4以内※2 | 100万円〜1億円 |
| 小規模企業者 | 4/5以内※3 | ||
| Ⅱ DX推進 | 3/4以内※3 | ||
| Ⅲ イノベーション | |||
| Ⅳ 後継者チャレンジ | |||
| Ⅴ アップグレード促進※4 | 3/4以内※3 | 1億〜2億円 | |
助成対象は機械装置やソフトウェアなどで、例えば、「最新設備を複数台導入して生産性を向上させる」、「DX化を推進し、業務効率を大幅に改善する
」といった設備投資を検討している企業に活用しやすい助成金事業です。
また、本助成金は製造業に限らず、サービス業や建設業、IT関連企業など、業種を問わず幅広い中小企業が対象となる点も特徴です。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業では、主に機械装置や設備の導入にかかる経費が助成対象となります。具体的には、税法上の固定資産に該当する機械装置、器具備品、ソフトウェアなどの導入費用が対象となります。
本助成金は、名称の通り企業の設備投資を支援する制度であり、特に機械装置や生産設備の導入が中心となる点が特徴です。例えば製造業であれば、加工機械、生産ライン設備、自動化設備などの設備投資が対象となります。また、建設業やサービス業などの場合でも、生産性向上や競争力強化につながる設備投資であれば対象となる可能性があります。
なお、助成対象となる設備は、1基あたり50万円(税抜)以上の固定資産である必要があります。
本助成金では、機械装置だけでなくソフトウェアの導入費用も助成対象となります。ただし、ソフトウェアのみで申請する場合は、助成金交付申請額は300万円以上1,000万円以下とされており、機械装置などの設備投資と比べると助成規模は小さく設定されています。
そのため、本助成金はソフトウェア単独の投資よりも、設備投資の単独申請、または設備投資を伴うDX投資などに適した制度と言えるでしょう。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の採択率は公式には公表されていません。しかし、採択企業向けの説明などで言及される場合があります。
前身の助成事業である「革新的事業展開設備投資支援事業」の説明会での回答などを参考にすると、採択率は概ね15〜20%程度と推定されており、東京都の助成制度の中でも難易度の高い助成金事業と言えます。
助成額が大きく、また10年間の収支計画の提出や面接審査があることから、申請には十分な準備が必要となります。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、毎年、年2回程度の公募が実施されています。
直近の公募スケジュールを踏まえると、次回(第12回)公募は2026年夏〜秋頃に実施される可能性が高いと考えられます。
過去の公募スケジュールから見ると、概ね次のような流れになることが多いです。
第12回公募スケジュールの見込み
| 項目 | 時期(第12回公募 見込み) |
|---|---|
| 申請予約 | 2026年8月下旬頃 |
| 申請受付 | 2026年9月中旬〜10月初旬頃 |
| 審査期間 | 2026年10月頃〜2027年1月頃 |
| 採択発表 | 2027年2月頃 |
| 助成事業開始 | 2027年3月頃 |
この助成金は、例年7月下旬~8月上旬にかけて公募スケジュールが発表され、申請は9月頃に実施されるケースが多くなっています。
しかし、10年収支計画の作成や事業計画書の整理など、申請準備には一定の時間が必要となるため、公募スケジュールが発表されてから準備を始めると間に合わない場合もあります。
そのため、設備投資を検討している場合は、公募開始を待つのではなく、事前に事業計画や収支計画の整理を進めておくことが重要です。
なお、公募時期や詳細スケジュールは年度によって変更される可能性があるため、申請を検討する際には東京都中小企業振興公社の公式サイトで最新情報を確認するようにしましょう。
本助成金の大きな特徴は、助成率4/5・助成上限2億円という非常に規模の大きい支援制度である点です。
東京都が実施する助成制度の中でも支援規模が大きく、数千万円から数億円規模の設備投資を検討している企業にとって、大きな資金支援となります。
そのため、生産設備の導入やDX投資など、企業の成長に直結する設備投資を計画している場合には、非常に活用価値の高い助成金と言えるでしょう。
本助成金では、事業計画書(定性的な根拠)の提出に加えて、指定フォーマットで10年先までの収支計画表の作成が求められます。
多くの補助金や助成金では3〜5年程度の収支計画が一般的ですが、本助成金では10年間という長期の収益計画を求められるため、申請の難易度を高める要因の一つとなっています。
そのため、設備投資によってどのように売上や利益が増加していくのか、数値の根拠を整理したうえで収支計画を作成することが重要です。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業では、書類審査を通過すると面接審査が実施されます。
面接審査は約30分程度で、
といった形で行われます。
多くの補助金や助成金は書類審査のみであるため、この面接審査の存在も本助成金の審査難易度を高める要因となっています。
本助成金事業は、東京都の産業政策である「稼ぐ東京」を実現できる中小企業の支援を目的としています。
これは言い換えると、助成金を活用して事業を成長させ、収益を拡大し、結果として東京都の経済や税収に貢献できる企業を支援する制度と言えます。
審査基準は具体的な配点などが公表されているわけではありませんが、形式的に審査項目を埋めるだけではなく、事業計画書全体を通じて“稼ぐ東京”を実現できる事業計画であることをしっかりとアピールできているかが重要なポイントとなります。
事業計画書(定性的な根拠)で“稼ぐ東京”をアピールできたとしても、収支計画表(定量的な根拠)の売上や利益の根拠が不明確であれば、事業計画全体の説得力が弱くなってしまいます。
「10年後のことは分からない」と感じる方も多いかもしれませんが、仮説でもよいので、売上の見込みについて一定の根拠を整理することが重要です。
例えば、
といった形で売上を分解して算出するなど、収益計画の根拠を整理することで、収支計画の説得力を高めることができます。
最後のポイントは、申請に際して当事者意識をもって取り組むことです。
採択される事業計画書や収支計画表の作成には、中小企業診断士などの経営コンサルタントのサポートが必要になる場合もあります。しかし、申請書の作成をコンサルタントに依存しすぎるのは注意が必要です。
特に本助成金では面接審査があるため、コンサルタント主導で計画を作成してしまうと、面接審査で自分の言葉で説明することが難しくなり、説得力の弱いプレゼンテーションになってしまう可能性があります。
また、当事者意識がないまま採択された場合、事業計画どおりに事業が進まず、結果として助成金が企業の成長や経営改善に十分活かされない可能性もあります。
そのため、コンサルタントの支援を受ける場合でも、事業計画の内容を十分に理解し、主体的に申請に取り組むことが重要です。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、助成率4/5・助成上限2億円という非常に大きな支援を受けられる一方で、10年間の収支計画の作成や面接審査などが求められるため、東京都の助成制度の中でも申請難易度の高い制度と言えます。
申請を検討している場合は、本記事の内容を参考に、早い段階から事業計画や収支計画の準備を進めておくことをおすすめします。
また、自社だけで申請書を作成することが難しい場合には、必要に応じて専門家のサポートを活用することも検討してみてください。
東京都大田区の町工場を中心とした営業・販売促進のコンサルティングを行っている。補助金申請支援では、機械設備導入、アプリ・システム開発など多くの支援実績があり、東京都の難易度の高い助成金申請支援においても高採択率を誇る。
ものづくり補助金、事業再構築補助金、大規模成長投資補助金、革新的事業展開設備投資支援事業、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業、明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業、事業承継補助金)
講師紹介:川崎 悟 | 大塚商会による中小企業診断士のための理論政策更新研修サイト
合同会社セールス・トータルサポーターズ 川崎 悟|東商 社長ネット |東京商工会議所