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中小企業成長加速化補助金の事前準備のポイント

中小企業成長加速化補助金は、2025年に新設される補助金制度です。
この補助金は、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業を対象に大胆な設備投資を支援するものです。そのため対象となるのは、売上高が50億円〜90億円程度の中小企業で、初めて補助金申請を行う企業も多いと考えられます。
しかし、現時点(2025年1月3日時点)では、補助事業の概要やスキームなど大まかな内容のみが公表されており、審査基準の詳細や提出書類、スケジュールなどについては2025年3月に公表予定の公募要領で明らかになる予定です。

この記事では中小企業成長加速化補助金の概要と、初めて補助金申請を行う企業の皆さまを対象に、補助金の公募開始前に準備しておくべきポイントをお伝えします。

1.中小企業成長加速化補助金とは?

中小企業成長加速化補助金とは、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業の潜在的な投資を最大限引き出すため、大胆な設備投資を支援する補助金です。
中小企業庁に掲載されている情報によると、中小企業成長加速化補助金の概要は以下の通りです。

中小企業庁「中小企業成長加速化補助金リーフレット」より著者作成

補助対象経費について
本補助金の対象経費としては、建物費、機械装置等費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費の5つが公表されています。
活用イメージとして「工場・物流拠点の新設・増築」「イノベーション創出に向けた設備導入」「自動化による革新的な生産性向上」が紹介されていることなどから、中~大規模の設備投資への支援を目的とした補助金です。

設備投資に活用できる他の補助金としては「ものづくり補助金」がありますが、ものづくり補助金では建物費が補助対象となりません。
そのため、「工場・物流拠点の新設・増築」を検討している際にはこちらの中小企業成長加速化補助金が有力な選択肢となります。

補助額・補助率について
本補助金の補助上限額は5億円と、中小企業向けの補助金としては比較的投資規模が大きいことに加え、補助事業の要件に「投資額1億円(税抜き)以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)」とあり、補助下限額も決まっています。なお、補助率は1/2であるため、投資額の半分以上を自己資金や借入金などで準備する必要があります。

スケジュールについて
令和7年3月末までに公募要領を公開予定とされており、第1回公募は令和7年5月に申請受付を開始し、同年6月に公募締切、その後、同年8月に交付候補者が決定するとされています。
原則、令和8年度末までに公募を3回程度行い、全体で600者程度の事業者等に対しての補助金交付が見込まれています。


第1回公募のスケジュール
中小企業庁「中小企業成長加速化補助金リーフレット」より抜粋

提出書類について
提出書類については、現時点では未公表ですが、他の補助事業と同様に事業計画書直近数年分の決算書類(損益計算書、貸借対照表)などが必須の提出書類となります。
(提出書類の詳細については3月に公表予定の公募要領で明らかになる予定です。)

審査基準について
審査基準としては、以下の3点が現在公表されています。
一 経営力(企業の成長性、投資の呼び水効果、他社との差別化 等)
二 波及効果(賃上げ、域内仕入れ 等)
三 実現可能性(資金計画、金融機関の対応、スケジュール 等) 等

補助金の審査は審査基準を元に、事業計画書と、決算書やその他の提出書類の内容から総合的に評価されます。
現在公表されている審査基準の大まかな項目のみで、詳細な項目については2025年3月に公表予定の公募要領にて明らかになります。

2.「売上高100億円を目指す宣言」とは

「売上高100億円を目指す宣言」とは?
中小企業成長加速化補助金の申請の要件になっている「売上高100億円を目指す宣言」とは、中小企業が、「売上高100億円を超える企業になること」、「それに向けたビジョンや取組」を自ら宣言し、ポータルサイト(令和7年春頃開設予定)上に公表をするものとされています。

中小企業庁「中小企業成長加速化補助金リーフレット」より抜粋

宣言の内容
宣言の内容は、現時点では以下の内容が検討されています。
①企業の現状(足下の売上高、賃上げ等企業目標、課題等)
②売上高100億円の実現のための目標(売上高成長目標、期間、プロセス等)
③売上高100億円の実現に向けた具体的措置(生産増強、海外展開、M&A等)
④実施体制
⑤経営者のコミットメント(経営者自らのメッセージ)等
(※詳細については令和7年2月に公開予定の募集要領で明らかになる予定です。)

宣言・公表した企業のメリット
宣言・公表した企業のメリットとして、現在公表されているのは以下の3点です。
①「宣言」取得による補助金等の活用
②経営者ネットワークへの参加
・「宣言」マークの活用による自社PR

上記の通り、「宣言・公表のメリット」の①に“「宣言」取得による補助金等の活用”とあるので、宣言・公表すると中小企業成長加速化補助金の活用が可能となります。
「売上高100億円を目指す宣言」の募集要領は令和7年2月に公開され、申請は令和7年5月開始の予定です。そのため、第1回の中小企業成長加速化補助金への申請をする場合は、中小企業成長加速化補助金の申請と売上高100億円を目指す宣言を同時進行で行う必要があります。

「売上高100億円を目指す宣言」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

3.公募開始前に準備しておくべきポイント

1.の概要でお伝えしたように、本補助金の第1回スケジュールは公募開始から締切までが1~2ヶ月と非常に短い期間となっています。
採択の可能性を高めるためには、公募前からの入念な事前準備が必要です。
ここでは、補助金の公募前に準備しておくべきポイントについてお伝えします。

①電子申請の準備
中小企業成長加速化補助金の申請は、Jグランツ(デジタル庁が運営する、国や自治体の補助金の電子申請システム)からの電子申請が必要となります。
Jグランツからの電子申請を行うためには、GビズIDの取得が必要です。

GビズIDとは、政府が提供する法人・個人事業主向けの共通認証サービスです。電子申請を行う際に、本人確認や電子署名のために必要となります。
GビズIDには、GビズIDプライムとGビズIDメンバーの2種類があります。補助金申請には、GビズIDプライムが必要です。

GビズIDプライムの取得方法
オンライン申請:マイナンバーカードとマイナンバーカード読み取りに対応したスマートフォンをお持ちの方は、オンラインで申請できます。最短即日で発行されます。
書類郵送申請:印鑑証明書を添付して郵送で申請する方法です。発行までに1週間程度かかります。

GビズID取得に必要なもの
メールアドレス
SMSを受信できるスマートフォン(GビズIDアプリインストールが必要)
印鑑証明書(GビズIDプライムの場合)
マイナンバーカード(オンライン申請の場合)

なお、取得方法や必要なものは変更になることがありますので、公式サイトにて最新の情報をご参照ください。

②申請する経費の検討
申請する経費を検討し、見積を取得しておきましょう。
前述の通り、補助上限額は5億円、設備投資関連の投資額が1億円以上(税抜き)であることが必須条件となっています。

どの補助金にも共通して言えることですが、補助事業で申請する経費は、補助事業の目的に沿った投資であることが必要で、単なる老朽化した建物の改築や機械設備のリプレースなどは対象外となります。
中小企業成長加速化補助金では、工場の新設や増設、機械設備の導入など申請予定の経費により、売上高100億円の達成に向けた飛躍的な成長に繋がるかどうかが、申請の判断基準の1つとなります。

③審査基準を確認しておく
補助金で採択に結び付けるためには、定められた審査基準に則った計画であることを事業計画書やその他の提出書類で示す必要があります。
審査基準の詳細については今後公開される公募要領で明らかになりますが、現在公表されている、以下の3点を必ず意識して事業計画を検討しましょう。
一 経営力(企業の成長性、投資の呼び水効果、他社との差別化 等)
二 波及効果(賃上げ、域内仕入れ 等)
三 実現可能性(資金計画、金融機関の対応、スケジュール 等) 等
特に建物を補助対象とする場合には、資金計画やスケジュールの確認は非常に重要です。

④申請を自社で全て行うか、補助金コンサルタントに依頼するかを検討
中小企業成長加速化補助金への申請を検討している企業は比較的規模が大きく、組織体制が整っているでしょう。そのため、補助金申請を自社で全て対応することはリソース的には可能だと思います。
補助金コンサルタントを活用するメリットは、選んだコンサルタントや契約条件によりますが、①電子申請や書類の準備などの手厚いアドバイスやサポートが受けられること、②事業計画書の精緻化により採択の可能性を高めることが出来ること。
デメリットは、①着手金や成功報酬などの一定の費用が発生すること。②補助金コンサルタントを活用しても不採択になる可能性はあること。などです。

4.まとめ

今回の記事では、新設される中小企業成長加速化補助金の概要と事前準備のポイントについてお伝えしました。
中小企業成長加速化補助金への申請を検討している企業の担当の皆さまは本記事を参考にして、申請の検討及び事前準備を進めて下さい。

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