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中小企業省力化投資補助金(一般型)第3回採択発表と第5回の公募の留意点

中小企業省力化投資補助金(一般型)第3回採択発表について

2025年11月28日に、中小企業省力化投資補助金(一般枠)の第3回公募の採択が公表されました。この記事では、第3回までの採択結果の分析、及びこれから中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請を検討されている方に向けて、その留意点についてお伝えいたします。 

          <目 次>
1.補助金の制度概要

2.第3回公募の採択実績
3.業種別・地域別の採択状況
4.採択事例紹介
5.第5回公募のスケジュール
6.第5回応募に向けての留意点
7.まとめ
8.「プロコン補助金.com」の紹介

 

中小企業省力化投資補助金(一般型)の概要

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、深刻化する人手不足を背景に、DX・自動化設備の導入による省力化・生産性向上を支援する制度です。
特に、ロボット・AI・IoT・AMR・自動包装機等の導入効果が高い設備を対象としており、業務プロセス全体の効率化、属人性排除、人手不足解消を目的とした投資を重点的に後押しする仕組みです。
本補助金は、一定の付加価値向上・賃上げ要件を備えることが求められる点に特徴があり、「生産性向上」「賃金引上げ」「持続的成長」の三位一体を志向した国家的施策と位置づけられます。
省力化投資補助金(一般型)1
(出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)のHPより抜粋

 

第3回公募の採択実績

第3回公募は2025年6月27日から8月29日まで実施され、同年11月28日に採択結果が公表されました。募2,775件のうち1,854件が採択され、採択率は約66.8%と高水準を維持しました。第1回は1,240件(68.5%)、第2回は707件(60.9%)であり、第3回は件数・比率ともに安定的な成果を示しています。

三回を通じた傾向として、以下の点が明確になっています。
・製造業が常に最大勢力を占める(第1回61.7%、第2回58.4%、第3回51.3%)
・建設業の採択割合が顕著に伸長(第1回11.3% → 第3回15.5%)
・卸売・小売・サービス業にも採択が広がり視野が拡大
・補助金申請額は各回ともに「1,500〜1,750万円帯」が最多(第3回は20.7%、詳細は以下参照)

また第3回では、AMR、AI積算、自動包装機など、複数工程を統合的に自動化する設備の導入が増加しました。これにより、単なる省力化にとどまらず、工程全体を再構築する本格的な投資が主流化している点が大きな特徴といえます。

中小企業省力化投資補助金(一般型)2
(出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)のHPより抜粋

 

業種別・地域別の採択状況

第3回の採択では、製造業が51.3%を占め、引き続き最大の構成割合となりました。次いで、建設業が15.5%と大きな比重を占め、その他は卸売業5.3%、小売業3.9%、学術研究・専門技術サービス業4.2%、農林業2.6%と続きます。
特に建設業の採択割合が前回より伸びている点が特徴的で、これは積算・見積り自動化システムの導入や、重機のDX化(チルトローテーター・ICT建機等)の普及が進み、現場の省力化効果が明確に示せる案件が増えていることを示唆しています。製造業でも、AMRや自動化ライン、ロボット設備など、より高度な設備投資が目立ちました。

中小企業省力化投資補助金(一般型)3
(出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)のHPより抜粋

地域別の採択状況を見ると、大阪府182件(9.8%)東京都167件(9.0%)愛知県147件(7.9%)が上位を占めており、これまでと同様に大都市圏へ採択が集中する傾向が続いています。これらの地域では、製造業・建設業を中心に大規模な設備投資案件が多く、AMRや自動化ラインなど高度な省力化設備の導入が目立ちます。
一方で、北海道59件、福岡県59件など地方圏でも一定の採択件数が確認されており、地域特性に応じた省力化投資が広がっています。北海道では農業や食品加工の自動包装機・選果ライン導入、九州地域では建設業や製造業の省力化機器の導入が増加しており、深刻化する労働力不足に対する実効的な投資として定着しつつあります。
都市部に偏在するだけでなく、地方にも省力化投資が着実に波及している点が、第3回公募の大きな特徴といえます。

中小企業省力化投資補助金(一般型)4
(出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)のHPより抜粋

 

採択事例紹介

第3回の採択事例には、次のような特徴的な傾向がみられます。

  • 製造業~AMR・自動化ラインによる構内物流の完全自動化:リフト式自動収納システム、AMR、パレタイジングロボットなどを組み合わせ、仕掛品管理・出荷工程を大幅に効率化しています。従来80時間かかっていた作業が20時間まで短縮され、出荷作業の自動化によって増産体制の確立と外注の内製化によるコスト削減が実現しています。
    中小企業省力化投資補助金(一般型)5
    (出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)のHPより抜粋

 

  • 建設業~AI見積自動作成システムによる積算DX:RAGを活用したAI見積システムを導入することで、見積作成に要していた時間を約1/4に短縮しています。積算漏れや計上ミスの削減につながり、利益確保や業務品質向上に寄与しています。
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    (出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)のHPより抜粋

 

  • 小売業~自動計量包装値付機による生鮮加工の自動化:ラップ巻き、計量、値付、ラベリングまでの一連の作業を自動化する設備を導入し、1日あたり70時間以上の作業時間を削減しています。廃棄ロスの削減や品出しのタイミング改善により、売上機会の確保と利益率の向上が図られています。
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    (出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)のHPより抜粋

 

  • 宿泊・飲食業~セントラルキッチン化による労働集約業務の抜本的改善:仕込み工程をセントラルキッチンに集約し、多くの工程を1名で運用できる体制へ転換しています。これにより提供量の増加、店舗回転率の向上、全体的なサービス品質の改善が実現しています。
    中小企業省力化投資補助金(一般型)8
    (出典: 中小企業省力化投資補助金(一般型)のHPより抜粋

総じて、第3回では複数の設備を統合し、工程全体を自動化する「複合設備」導入が増加している点が大きな特色といえます。単一工程の効率化にとどまらず、業務プロセスそのものを再構築する投資が主流となっています。

 

第5回公募のスケジュール

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、年3~4回程度の公募が予定されています。第4回公募は既に申請受付が終了し採択発表待ちですが、続く第5回公募のスケジュールは以下の通り発表されています。

  • 公募開始日:2025年12月中旬(予定)
  • 申請受付開始日:2026年2月上旬(予定)
  • 申請締切日:2026年2月下旬(予定)
  • 採択発表日:後日お知らせします

※今後公式HPで詳細日程が公表・更新される予定です。

 

第5回応募に向けての留意点

中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択率が高いとはいえ、確実に採択されるためには十分な準備と戦略が必要です。第5回以降の公募に申請予定の中小企業向けに、特に重要なポイントを以下に整理します。

  • 属人工程の特定と自動化範囲の精緻化:現状工程を細分化し、「どの作業が誰に依存し、どの程度の時間と負荷が生じているか」を可視化することが不可欠です。作業時間・人員・ミス率・歩留まりなどの実績値を示したうえで、「この工程を対象設備で何%自動化し、どの程度の削減効果が生じるか」を論理的に示す必要があります。属人性の深刻度や人材確保困難性を併記することで、省力化投資の必然性を一層強調できます。
  • 業務プロセス全体の再設計(BPR)の具体化:単一工程の自動化にとどまらず、導入後に業務全体がどう変わるかを示すことが評価を大きく左右します。設備導入後の工程統合、動線の最適化、レイアウト変更、AMR導線の再設計、人員再配置計画などを盛り込み、「設備×プロセス改革」の相乗効果を明確化することが重要です。工程図・動線図・Before/After比較があると説得力が飛躍的に高まります。
  • 省力化効果の数値化(自社データによる実現性の担保):審査では、効果が具体的かつ実現可能であるかが重視されます。「○時間削減」「○名分の作業代替」「○%の増産」「外注費○%削減」など、自社の実績値を根拠とした算出が求められます。機器メーカーのカタログ値だけでは説得力が弱いため、現場ヒアリングやサンプリング調査に基づく自社算定値を示すことが必須です。また、削減時間の再配分先(営業・品質管理・保全等)まで示すことで事業成果の蓋然性が高まります。
  • 付加価値額・賃上げ要件を満たす財務計画の整合性補助金の本質は「持続的な生産性向上」であるため、財務計画の整合性が極めて重要です。売上増加の根拠(増産能力、品質向上、ロス削減、回転率改善)、原価低減効果、人件費の再配分効果などを体系的に説明し、「賃上げを行っても資金繰りが安定する収益構造」を示す必要があります。申請書内の数値(損益計画・人件費計画・設備稼働率)が矛盾なく整合していることが、採択の鍵を握ります。

 

まとめ

中小企業省力化投資補助金(一般型)第3回では、応募2,775件中1,854件が採択され、製造・建設業を中心に高度な自動化投資が広がりました。AMRやAI積算、自動包装機など複数設備を統合した省力化が主流となり、業務プロセス全体を再設計する取り組みが評価されています。一方で、採択には工程分析、省力化効果の数値化、財務計画の整合性など高度な申請技術が求められます。当サイト「プロコン補助金.com」では、豊富な支援実績に基づく専門的な申請サポートを行っております。第5回目公募以降で確実な採択を目指す企業の皆さまは、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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以下の表は、当社がサポートし採択された、中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助金(概要)と業種の一例です。

補助金(概要) 業種
「測量用ドローンの導入」 補助金額 800万円 長崎県 建設コンサルタント
「Webマーケティング自動化ツール」 補助金額:1,000万円 東京都 情報サービス業
「3Dスキャナと3DCADの導入」 補助金額 375万円 神奈川県 製図会社
「高速ロボットアーム導入」 補助金額 750万円 東京都 映像制作業
「DX基幹システム統合導入」 補助金額 1,350万円 大阪府 生鮮魚介卸売業
「自動光学検査装置の導入」 補助金額 4,166万円 山形県 製造業
「自動バリ取り機の導入」 補助金額 2,150万円 東京都 製造業

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